10月29日(水)。長い夜が明けた。ほとんど眠れなかったが、明け方少し眠ったようで、「採血しますね」の声で起こされた。
採血が終わったとき、バルーンはいつ抜けますか?と聞いてみる。案の定、「主治医の先生が来てからですよ」と言われた。つまり、だいたい、8時より後。点滴も術創に入っているドレーンも抜けないので、ベッドからは降りられない。
部屋の窓の方を見るが外の明るさはあまり分からない。
個室には掃き出し窓があるが、病院の建物が多分コの字型で、奥まった部分に部屋があるので、窓からは空はほとんど見えないのだ。
次にやってきたスタッフに、歯磨きをしたい、そしてこのタオルを絞ってくださいと頼む。
また同じようにコップに水を入れてもらい、歯ブラシに歯磨き粉を付けてもらい、ガーグルベースンといううがいの水を吐き出す容器もセットしてもらった
ベッドの上ではあるが歯磨きをして顔をおしぼりで拭いて、少しだけすっきりした。
7時過ぎに朝食が支給された。
袋に入ったロールパン2個、給食についてくるりんごジャム、牛乳、三度豆?の煮物?みたいなもの(どうみてもこれだけ和風)。病院勤務の時、当直明けでもこんな朝食が支給されたものだった。
普段食べないメニューだけど、ゆっくり食べてみることにした。
パンは保温器に入れられていたのだろう、ほんのり温かく、袋の内側が蒸気の水滴がたくさんついている。パンをちぎってジャムを付ける。甘くておいしかった。ほっとするのが分かった。あっと言う間にパン2個を食べてしまった。
牛乳と煮物は残し、昨夜置いておいてもらった持参のミックスキャロットを飲んだ。
しばらくすると朝食を下げに介護士がやって来たので、また歯磨きの用意をしてもらい、ベッドの上で歯磨きをした。
まだ8時には遠い。
ひたすら時計を見て主治医が来るのを待ち続けた。
8時半より少し前だったか、やっと主治医がやって来た。まず腰に入っているドレーンが主治医により抜去となる。横向きに寝てじっと処置を受けていた。私も、すぐに抜けるのが分かっているので軽い気持ちだったし、軽い感じで「抜きますよー」との声で、すぐに済むと思いきや。。。様子が変わった。あれ?という主治医の声。
「抜けない」と言い出した。
軽く引っ張ったときに痛みが走ったので思わず「痛っ」と声が出る。
「縫いこんでいる」というではないか。傷口を縫うときに、ドレーンの管まで巻き込んだのかもしれないとか。若い医者に最後、縫わせたので。。。とかなんとか言っている。「そんなことあるか?」と思ったが、こちらはまな板の上の鯉で、どうすることもできずじっとしているだけだった。
処置室かどこかに移動するのか?と思ったら、主治医が、鑷子その他器具を用意するよう看護師に指示している。「ここで出来るんですか?」と聞くと、「できますよ」と。
看護師が器具を持って戻ってきて、背中でカチャカチャと器具の音がする。局所麻酔が注射されて処置が始まった。結局、傷口を閉じるステープラ(ホチキス)が噛んでいたとのこと。若い医者は関係なかったような。。。
んなアホな。。。と言いたかったが、言えなかった。
そして主治医が看護師に、点滴とバルーン抜去を指示した。そして彼はシャワー浴OKの声を残して立ち去った。点滴は、この日の夕方に抗生剤があるということで、本体だけが外され、点滴の管は蓋がされて残ったまま(これは通常の処置)。そしてついにバルーンも抜去され、忌まわしい紙おむつも取り除かれた(そもそも、バルーンがちゃんと入っていたら尿が漏れるということはないのでこんなものいらないはずなのだが、これが「念のため」ということか)。
繋がっていた3本の管から解放された。立ってみてくださいということで、ゆっくり起き上がり、スリッパをはいて立ち上がる。ふらふらするが大丈夫だった。
シャワーしたいので、椅子をお願いできますか?と看護師に言うと、時間がかかるとかなんとか言われた。椅子一つ持ってきてもらうのにも大ごとなのだ。
待っている間に洗面台で顔を洗う。腰をかがめて顔を洗うのがかなりしんどいが、かなりすっきりした。鏡を見た時、昨日麻酔から覚めたときに友人に言われた、顔の傷を確認した。右の頬に2か所。1つは頬骨の上のあたり、だいたい1cm×5、6mmはあるだろいうか。もう1つは口角と耳の間あたり、これも7,8mm×3,4mmはあるだろうか。皮がめくれて瘡蓋になりかけているのがわかる。うつ伏せにされていた際に、マスクとクッションで圧迫されていたのだろうか?
どうしたものかと思いながら、考える力もあまりなかった。
しばらくしてシャワー用の椅子が来た。介護用の背もたれ付のやつだった。改めて、個室に入れて本当によかったと思う。椅子があるとはいえ、髪を洗う気力はなかった。腰から下だけ洗ってみた。
それだけでも随分すっきりした。
傷口の痛みというより、起きたり座ったり、体の向きを変えたりする一つ一つの動作が大層だ。起き上がるのもベッド柵を持たないとうまく起き上がれない。室内でもさっさと歩けない。手術翌日だからこんなもんだろうと思うことにした。とはいえ、寝っぱなしはよくないので出来るだけ起きているようにする。
スマホを取り出してようやく電源を入れた。
11時過ぎから、心配してくれていた友人たちに、順次メッセージを送った。今日は3人が来てくれるという。
その日の昼食は、魚の竜田揚げだった。明らかに、油が悪く、さらに油をちゃんと切っていないので皿にも油がにじんでいる。有難く頂かねばという思いはあるが、病院のコスト事情を考えずにはいられないし、やはり相当食材費を削っていることは明らかだった。
太った男性の理学療法士が訪室。手術前日に来た若い男性とは別の人物だった。その人は休みだから自分が来たという。今日はここでやります、ということで、ベッド上での軽いストレッチや運動。少しの運動でも怠さがあるが、なんとかやり終えた。そして帰宅後の生活について聞き取りがあり、自転車にはしばらく乗らない方がいいですね、などと話してから、彼は去っていった。
次に、麻酔科看護師が訪室。術前の説明に来たのと同じ女性のようだ。マスクで顔を隠しているから確信は持てない。顔の傷のことを伝えたところ、分かりました伝えておきますと。看護師レベルでは何も判断できないことはこちらも分かっているので、当方としては記録に残して欲しい旨を伝えておいた。
本を読んだり少しスマホをみたりしながら過ごすうちに15時になり、仲間たちが順番に面会に来てくれた。本当に有難かった。1人は、前日私が吐気で苦しんでいる姿を見ているので、起きて喋れることに安心したようだった。
面会は1度に2人しか許されない。3人目が来たところで1人に帰ってもらうしかなく、あまりに情けなく申し訳なかった。
人と話せるのは楽しいが、やはり疲れを感じた。
この日は、夕食を終え、21時の消灯時刻を迎え、そのまま就寝した。
大したことはしていないのに、すぐに眠ったようだった。
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