入院2日目 手術当日 まな板の上の鯉 不織布マスクの上からアレ!

2025年10月28日(火)

朝は普通に目が覚めた。洗面を済ませベッドで座っていると、7時前にスポーツドリンク2パックが支給された。前日、朝にドリンクが配られるとは聞いていた。7時半までに飲むようにとのこと。200mlが2パック。スポーツドリンクの糖分や甘味料のことを知ってからはほぼ飲まなくなっていたが、これしかないし、とりあえず全部飲んだ。

ほどなくして看護師が手術着と弾性ストッキングを持ってきた。主治医も顔を出した。また看護師がやってきて点滴が開始された。9時ごろに着換え、9時15分ごろに弾性ストッキング装着。病院勤務の際何度も見たことがあるものだが自分で履くのは初めてだった。太ももまであるタイプで履くのは大変かと思ったが、どうにか装着できた。

9時半、看護師が呼びに来た。観念してマスクを着けて、案内で手術室に向かう。前室でしばらく待たされたのち、手術室へ。自動ドアがすっと空いた先には、研修医の頃何度も見た景色。手術台の横にストレッチャーがあり、そこに横たわるように言われる。横になると、前日に言われていたように、通り不織布マスクの上から酸素マスクを被せられた。感情はなかった。麻酔医の『プロポフォールが入りますよ、すぐに眠くなります』という声。点滴が刺さっている腕に冷たい感覚が来る。10秒か20秒は意識があったと思う。

呼ばれたり叩かれたりする感覚。うっすら目を開けると病室の天井。スタッフらしき声がわぁわぁと聞こえる。

20年以上前の手術の時と同じだなとぼんやりと考えながらまだはっきりはしなかった。時間の感覚がない。

「面会の方来られましたよ」という女性の声。事前に来てもらうようお願いしていた友人だった。彼女の声が聞こえて、目を開けると彼女の顔が見えた。そもそも眼鏡をかけていないのでぼやけている。すると、『顔に傷があるよ』と言う。その声は、はっきり覚えている。ほどなくしてもう1人の友人も来てくれた。

目は覚めているが何を話したかは覚えていない。

しばらくすると強い吐き気に襲われた。苦しさのあまり唸り声をあげながらえづくが何も出てこない。看護師が吐気止めの薬を使ってくれたり、痛み止めの点滴をしてくれたりするが、とにかく苦しい。そして口の中が粘っこくて気持ち悪い。痰がからむ。しばらくするとベッドを30°にギャッジアップしてくれた。うがいをしたいと伝えるとガーグルベースンでうがいをさせてくれたがすぐに気持ちが悪くなる。

若い頃の手術のあと、同じように口の中が気持ち悪くて、一晩中何度も、看護師に伝えたら濡らした綿棒で口の中をぬぐってくれたのを思いだす。

綿棒ありますか?と看護師に聞くとしばらくして持ってきたのはいわゆる耳掃除用の綿棒。当時使ったのは大きな綿球のついた医療処置用の綿棒。これかーい、と朦朧とする意識でも突っ込みたくなった。

ただ口の中を拭きたいだけなのに、どうしてこんな簡単なことがかなえられないんだろうと思う。

洗面所はベッドのすぐ横にあるが起きられない。

友人に頼んでキッチンペーパーを濡らしたものを大量に作ってもらった。そしてそれをポリ袋に入れ、捨てやすいようにベッド柵に、ゴミ袋として用意されていた小さめの黒いビニール袋を貼り付けてもらった。

16時半、面会時間終了ということで彼女たちは帰っていった。その後も頭痛が酷く、しばらく我慢したが、ナースコールで伝えると、夕食前のロキソニンを先に飲むかと聞かれたため飲むことにした。

とにかく気持ち悪い。寝たり起きたりしていた。尿道カテーテルが入っているので、少し体の向きを変えると、管が狭くなるのか得も言われぬ気持ち悪い尿意に襲われる。

当日の夜には座って食事が摂れるとは聞いていた。

巡回してきた看護師に、とにかく歯磨きをしたいと伝えてると、準備をしてくれて、ベッド上で歯磨きができた。その後夕食が運ばれてきた。ベッドをさらに起こしてもらった。

その時点で、目も覚めていて、吐き気は比較的収まっていた。

そう、ここで初めて書くが、熱いお茶は支給されない。お湯ももらえない。飲物は、自販機の飲料、そして水筒状のタッパーに入った水。ストローが刺さっている・・・・

箸を手に取り、コップの水で濡らそうとしたときに、1本落としてしまった。手に力が入らないのだ。ナースコールで拾ってもらって新しい箸を用意してもらった。

夕食は、ごはんと、玉ねぎの和え物のようなものが目に入った。少し食べてみようとしてごはんを口に入れた。次に玉ねぎのなます?だろうか、酢で和えたようなものを口に入れた瞬間、血圧が一気に下がるのが分かった。冷や汗が噴き出して苦しくなり、口の中に入れたものも咀嚼できずベッドに持たれたまましばし苦しんだ。どうにか口の中のものだけ飲み込んでそのままベッドを倒した。オーバーテーブルを外すこともできなかった。

しばらくすると看護師がやってきて「食事食べられませんか?」と聞くので「気持ち悪くて苦しい」と伝えると、

「そういうときはすぐに知らせてくださいね」と言われた。

知らせる気力もなかったのだよ、と思いながら、水分なら摂れるかもと思い、持参したミックスキャロットを床頭台に置いてあったのを取ってもらい、オーバーテーブルに置いてもらった。

再び歯磨きをさせてもらったが、用意したスタッフはすぐにいなくなり使用後の歯ブラシとガーグルベースンをオーバーテーブルに置くしかなかった。歯磨き後の歯ブラシをすぐに洗うこともできない無力感の中横になった。

スタッフが歯磨きを片づけてくれたのは随分経ってからだった。

人の歯ブラシを水で洗うのはさぞ気分のよいものではないだろうなと思って横目でちらっと見ていたが、やっぱりさーっと水をかけただけだった。

その後消灯までも、消灯してからも、寝たり起きたりで、とにかく苦しかった。

体の向きを変える事にバルーンが気持ち悪く妙な尿意が襲ってくる。口の中が粘っこい。何度も何度も、濡らしたキッチンペーパーで口の中を拭く。「これを作ってもらっといてよかったな」とぼんやり考えながら。

水は少しずつ飲んだ。ミックスキャロットは飲む気になれなかった。1時、2時…時計を確認しても進まない。朝のバルーン抜去が待てない、何度今すぐ抜いてくれと言おうと思ったか。傷の痛みはほとんど感じず、ただ苦しい夜だった。

この記事を書いた人
Yoko.Tanaka
PAGE TOP